• 位晏 開沼

「普通じゃなく、extraordinaryでありたい」



連載「Voice Up Japan Meijiに聴く」では、様々な疑問をVoice Up Japan Meiji(以下明治支部)のメンバーたちに投げかけます。メンバーとして活動するみんなは、何を考え、どう行動を起こしているのでしょうか?


 今回お話を伺ったのは、SNSチームに所属する今井凪沙さん。高校時代は国際系の学部に所属し、在学中にはアメリカと韓国への語学研修を経験。現在は文学部3年生で中国近現代史を専攻中。人生の早い段階で海外経験を積んだ凪沙さんに、明治支部に加入した動機、アジア・中国近現代史や貧困問題について関心を持つようになった背景を聞きました。


聞き手・編集:やす

話し手:凪沙さん


◎プロフィール

  • 千葉県内にある公立高校に入学

  • 高校2年生の時に海外研修(約2週間)でアメリカへ渡航

  • 高校2年生の冬に韓国へ行き、1週間ほど現地の高校生と交流

  • 2019年4月、明治大学文学部に入学

  • 2020年8月、Voice Up Japan Meijiに加入。SNS/貧困問題解決チームにて活躍中


◎濃密な時間を過ごした高校時代


・高校では国際教養科を卒業されていますが、入学前から国際問題などに興味があったのでしょうか。


国際教養科に入った大きな理由はエミレーツ航空のCAになりたかったからなんです!(笑)ナショナルジオグラフィックで観た「密着ドバイ国際空港」っていうドキュメンタリーで、人種も言葉も違う人たち同士が英語だけでコミュニケーションを取って、さらには空港内や飛行機内でお客様の対応をしているのを見て単純にすごいなぁと思いました!あと、普通に制服がかっこいいなって!エミレーツの帽子と制服がすごくかっこよくて、お姉さんたちが空港の中でスーツケースを引きながら列になって歩いている姿に憧れていました。

国際問題とかは、ちょうどイスラム国が中東で勢力を強めていた時期だったので、漠然と日本でテロとか起きてしまったら怖いなとしか思ってなかったですね。


・高校2年次に海外研修でアメリカへ渡っています。振り返っていかがでしたか。


 とてもとても楽しかったです!人生で1番楽しかった時間でした。最初の1週間はヒューストンでホストファミリーと過ごして、もう1週間はサンフランシスコに行きました。初めての海外だから警戒心もあったけれど、私たちが行った場所は富裕層の人たちが多く暮らしている地域だったので、治安が良かったです。


ホストファミリーとの生活で困ったことはありましたか。


 特に無かったですかね!外食が多くて、また冷蔵庫の中にある食べ物を自由に食べて良いよっていう感じだったので、食に困ることはなかったですね。

 あと、言葉の壁もあまり感じなかったです!英語でのコミュニケーションに困ったっていう場面がなくて、すごく自信がついたし、モチベーションにもなりました!現地の高校の授業に参加させてもらったりもしましたけど、そこで知り合ったホストファミリーの知り合いではない日本に興味なさそうな子たちとも積極的に連絡先を交換してましたね。笑


・留学中にカルチャーショックを受けましたか。もしあれば、印象に残っていることを教えてください。


 ご飯を残すこと、捨てることに躊躇がないことです。私のホストファミリーだけかもしれないけど、ゴミが多いなという印象がありました。 

 他に印象的だったのは、家族愛ですね!!!ママはホストブラザーとよくハグしてたり、「I love you」とかそういうことを言葉にしていたのが印象的でした。私にもそういうことをしてくれたから、日本の家族よりも愛されているなと実感しました。日本とアメリカの家族間の距離の違いには驚きました。


・留学前と後で何か変化はありましたか。


 アメリカと日本、両国の間には言語を含め大きな壁がある印象だったけれど、想像していたよりもその壁は小さいものでした。言葉さえできてしまえば、海外での生活にもすんなり馴染むことができることを感じましたね。


・話を聞いていると、適応能力の高さを感じます。


 そうですね!どんな環境に行っても適応できる自信はあります。実は高校2年生の時に韓国にも研修で行ったんですけど、現地の高校の文化祭に参加したり、大学で「日本のお弁当」についてのプレゼンを韓国語でしました(笑)


・大学進学にあたって、高校入学当時に抱いていたCAへの思いなど考え方に変化はありましたか。


 国際教養科で学んでいたこともあり、周りの友人の多くは「国際系」の学部・学科を受験していました。なので同じ道へ進むことも考えました。CAになる夢もあったので。

 ただ、私は高校時代に中国語を専攻していたこともあり、「アジア・中国の歴史」を勉強してみたいという気持ちもあったんです。そこで先生に相談したら、「英語は専門の塾も沢山あるし、やろうと思えば自分でも勉強できる。けれど、アジアの歴史を専門的に教えてくれる塾はないよ」と言われて大学ではアジア史を専攻することに決めました。



◎大学入学、そしてアジア史への強い思い


・大学では文学部でアジア史を専攻、さらにゼミでは中国近現代史を学ばれています。アジア、中でも中国に関心を持たれたのはなぜですか。

 

 理由はいくつかありますが、中でも1番のきっかけは高校生の時にYouTubeで観たVICEというチャンネルの「キルギスの誘拐結婚」っていうドキュメンタリー番組です。キルギスって日本人とすごく似た顔をしているのに、同い年くらいの女の子がいきなり誘拐されて結婚しなきゃいけない風習があるのが信じられませんでした。そもそもキルギスってどこ?って感じで。同じアジアに存在しているはずなのに、私が知っているアジアは日本、韓国、中国くらいだなって気付かされました。そして、もっとアジアについての興味が湧きました。


 そんな中、アジア全体を見渡すには中国についての理解を深めることが必要不可欠であることに気づきました。これが2つ目の理由です。中国について調べてみると、漢民族以外にも、モンゴル族、朝鮮族、ウイグル族、チベット族とか色んな民族がいることを初めて知ったんですね。それで中国と他の国の国境付近ってどうなってるんだろう、国境線という線引きでいきなり民族とか言葉が変化してるわけじゃないっていうことに気づき、どこかワクワクしてきたんですよね。(笑)


 3つ目の理由は、世界史への理解を深めていく過程で縦と横の歴史が頭の中でひとつになることの面白さを知ったからです。歴史は謎解きですよ!(笑)あと、ちょうど中国の清王朝時代の宮廷ドラマを見ていて、中国が欧米列強によって徐々に西洋化していく様子が描かれていました。それで、中国の今までの文化がなくなっていってしまってるように感じて寂しくなっちゃった。だから、中国がどういう歴史をたどって現在に至ったのかを知りたかったんです。


◎Voice Up Japan 明治支部について


・明治支部に加入しようと思った理由を教えてください。


 同じアジア史専攻で仲良くしていたもか(明治支部SNSチームの谷山茉香さん)が先に活動していて、Instagramで投稿をシェアしてくれたのがきっかけです。もともと、ESS(明治大学英語部)のスピーチセクションってところに所属していて、社会問題に関するスピーチを聞いたり、自分も生理のタブーに関するスピーチで全国大会に出させてもらったりしていたこともあり、ジェンダー等の社会問題にすごく興味がありました。


・明治支部に加入する上でためらいはありましたか。


 フェミニズムとかジェンダー平等に関する話題って、何か煙たがられて、あまり良いイメージを持つ人がいなさそうだから、周りからどう思われるんだろーとは思いました。


・加入する前と後で考え方や価値観が変わったことはありましたか。


 LGBTQIA+、フェミニズム、ルッキズムなどの社会問題は思っていた以上に身近な話題で、私自身もそういう問題の内縁に含まれていることに気付かされましたまた、そうした問題をより身近なものとして捉えることができるようになりました。


・凪沙さんにとって明治支部はどんな場所でしょうか。


 真剣な話も面白い話も相談できる場所あとは、興味がない人が知らないような知識が豊富なメンバーがたくさんいて、各自が自分の意見をしっかり持っているから、恋愛や人生、性、社会問題など友達や家族には話しにくいことも相談できる場所かなと思います。


・活動する上で、大事にされていることはありますか。


 ほうれんそう!たくさんメンバーがいるので、今どれをどこまでやっててとかはしっかり連絡を取り合うようにはしています。あとは、皆それぞれバックグラウンドが違うので、自分が当たり前とか普通と思っていることを押し付けないことかな。でも、自分の意見をしっかり持って言う時は言います!その時は、言葉選びは慎重にしています。


◎自分が今いる環境を当たり前と思わないで


・SNSチームの一員として活動しているかたわら、貧困問題解決チームのリーダーとしても活動されています。貧困問題に関心を持つようになったきっかけを教えてください。


 相対的に見て私の家があまり裕福では無いからです。私は大学の学費を全額奨学金で払っているし、定期代もバイト代から捻出って感じなんです。高校で国際系の学校に入学したけれど、周囲の人たちは昔から英語を勉強したりだとか裕福な家庭の子達が多かった印象があります。それでいつの間にか自分と他人の家庭環境を比べてしまうようになりました。

 その後、大学に入ったら周りにお金持ちみたいな人がもっと増えていって、それがコンプレックスになっていったって感じですね。周囲の人たちがお金持ちだからこそ、そういう人たちが貧困問題を身近に捉えれていないなと思いました。その中でも、「食」は最も経済格差が出やすいことに気づいたんです


・子ども食堂やフードパントリーなど、数々のボランティアに参加しています。活動を通じて心境の変化などはありましたか。


 実はボランティアっていうと「恵まれた人が施しを与える」みたいな感じがして最初は嫌悪感があった。けれど、実際に参加してみると私自身がすごく楽しかったんですもっと早くからボランティア活動をしておけば良かったと思いました。

 私は今、東京中野区のこども食堂のボランティアでお弁当を作っていて、そこで一緒に活動する主婦の方々から料理の仕方を教わったりとか、何気ない会話とかがすごい楽しいんですよね。私の活動で誰かが助かっているのはもちろん大事なことですが、私自身もボランティアに参加することで地域のコミュニティの人たちとの繋がりなどを持つことができて嬉しいです。


・日本国内で格差が広がっているという現状を知らない人は少なからずいるかと思います。そうした人たちに何か伝えたいことはありますか。

 

 自分が今いる環境を当たり前のことだと思わないことですかね。自分が経験してきたこと、大学に入って勉強していること、家に帰ったらご飯が用意されている環境など、そうしたものを決して当たり前のものだと思わない意識が大切だと思います


・社会問題を自分事として考えるのが難しいという方もいます。当事者意識を持つためにできることはありますか。


 今はSNS社会になっていて、気になった社会問題(貧困問題も含め)に関する投稿をシェアするだけで周りの友達が興味を持ってくれると思うので、まずはそうしたことから始めていけば良いと思います。

 あと、いま"SDGs"という言葉をよく耳にしますけど、こうした言葉を流行として聞き流すのではなく、なんでそういう問題が起きて、なぜその問題を解決する必要があるのかを私たち一人ひとりがしっかりと考える必要があると思います


◎インタビューを終えて


 取材中、筆者のまとまりの無い数多の質問に対しても嫌な顔一つせず、終始笑顔で対応してくれた凪沙さん。そんな彼女が大切にしている言葉に胸を打たれました。それは「the difference between ordinary and extraordinary is that little extra」という言葉。「"ordinary"と"extraordinary"の違いは、そこに少しだけの"extra"という言葉が付くかどうか。"extra"な努力ができるか、できないかが後に大きな差を生む」という意味です。

 いま世の中では環境問題やフードロスの問題が話題となっています。こうした課題を解決に導くための身近な取り組みは多岐に渡ります。皆さんも普段の生活から少しずつ"extra"を積み重ねてみませんか。それが人生、さらには今後の世の中を大きく変えるかもしれません。



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